ポーカーの学習ツールは年々発展しており、素晴らしいソフトやツールが次々に産まれています。ポーカーを極めるのであれば、すでに購入したツールや書籍で勉強を続けるだけではなく、最新のツールを調べて使ってみることも必要です。
今回「GTO Wizard」というこれまでのポーカーの学習方法を一新するようなツールを見つけましたのでご紹介します。このGTOツールを使うことでポーカーとの向き合い方が大きく変わり、初級者から一気に上級者まで成長することができるでしょう。
GTO Wizardとは

GTO Wizardとは、GTOを効率よく学習するためのツールです。GTOとは、簡単にいうと絶対に負けない戦略であり、ポーカーの基準となる戦略のことです。
現在、世界中のポーカープロがこのGTOを学んでおり、ポーカーの学習において非常に重要な概念です。GTO Wizardを使うことでGTOを最も簡単に学ぶことができ、ポーカーの上達に繋がります。
GTO Wizardは様々な使い方ができるのですが、最も一般的なハンド分析について1つ紹介します。

あるハンドを持っていた時、どういったアクションをすれば良いのか、またベットやレイズをするならどういうサイズが正しいのかわからなかったことはないでしょうか。
周りの人に聞いて正しいプレイを見つけるのも良いですが、その意見が正しいのかどうかはわかりません。そういった時がGTO Wizardの出番です。
GTO Wizardを使うと、どういうプレイをすべきなのか数学的に正しい「答え」を教えてくれます。GTO Wizardが提示しているアクションはGTOに基づいており、絶対に負けない戦略です。どうプレイするべきなのか正確な答えを得ることができます。
このように、GTO Wizardを使うことで数学的に正しいとされているプレイを最も簡単に見つけられ、最速で上達することができるようになります。
ここまで読んで一度試してみたいと思った方は、GTO Wizardに登録してまずはプリフロップのレンジから見てみることをオススメします。(無料で使えます)ここからさらに詳しいGTO Wizardの情報を紹介していきます。
GTO Wizardでできること
GTO Wizardで利用できる、①Study、②Practice、③Analyze機能について紹介していきます。GTO Wizardでは様々なフォーマットが用意されており、キャッシュゲーム、トーナメント(ChipEV、ICM、バウンティ)Spin & Goなど様々な状況でこれらの機能を使うことができます。
①Study
Studyでは、実際に気になったハンドをどうプレイするべきだったか振り返るをすることができます。例えば、KhJsをUTGで持っていてオープンし、BBがコール。フロップがJh8d7hが落ちた時にフロップでどういったプレイをすべきなのかみていきます。

このとき、下の画像の右下の青色で囲われたKhJsを見てみると、チェックが62.2$、ベット1.8(33%)が33.8%となっています。つまりチェックと33%ポットサイズのベットであればどちらも正しいアクションとなります。

このように特定のシチュエーションにおいてどういったプレイをするべきだったのかということをGTO Wizardでは調べることができます。
さらに詳しい使い方は「【Study】GTO Wizardの機能紹介」をご覧ください。
他にもStudy機能にはReportsというものもあり、集合分析をすることができます。先ほどは特定のボードにおける戦略を調べましたが、集合分析ではどういった傾向がある時にどういったベットサイズを使うのか調べることができます。

よく、「Kハイフロップは小さめに全レンジでCベットをした方が良い」と言われていますが、このReports機能を使うことで実際に正しいのかどうか確かめることができます。

確かに、通常より小さなベットを多くしているもののKハイボードだから全て小さなベットをすれば良いというわけではありません。青色で囲んであるところのようにボードによってはオーバーベットを15%以上の頻度で行っています。
ポーカーはフロップだけでも1755種類、これをポジション別にあるとするとさらに増え、全てのボードでの戦略を暗記することは不可能です。このReports機能を使うことでどういう傾向がある時にどういう戦略になるのか分析することができます。
他にもCoachingsでは、GTO Wizardの使い方をはじめ、様々なポーカーの戦略動画が視聴することができます。
現在、YouTubeでも一部の動画は見ることができますので気になる方はぜひご覧ください。GTO Wizardを使っていないプレイヤーでも役立つ動画が多くあると思います。
②Practice
特定のスポットを練習したいときにはTrainer機能で行うことが出来ます。
ポーカーをプレイしている中でどこかしら苦手なスポットは出てくるでしょう。GTO Wizardではプレイしたいスポットを指定して徹底的にGTO戦略を学ぶことが出来ます。

このPractice機能では、乱数を使用して混合戦略の部分の精度を高めたり、際どい部分のシチュエーションのみ練習することもできます。
出現頻度が高く、EVロスが大きくなるもの、そして得意ではないスポットを中心にこの機能で練習してみてください。
【Trainer】GTO Wizardのトレーニング機能を紹介
他にも、Range Builderという機能でレンジ全体の戦略を練習することもできます。先ほどのPractice機能ではハンドごとの精度しか練習できなかったですが、この機能ではレンジ全体の精度を高めることができます。

各アクションをハンドごとに選択し、レンジ全体でどの程度正確性があるのかGTOスコアというもので評価されます。レンジ全体の戦略が気になる方はこのRange Builderを使用してみてください。
【Range Builder】GTO Wizardの機能紹介
Statsという機能もあり、これはGTO Wizardでプレイしたハンドやアップロードしたハンドを基に作成されます。

このStatsを見ることでどういった時に自分のミスが大きいのか傾向を知ることができます。大きなミスをしている部分を振り返り、その部分が本当にミスなのか、エクスプロイトとしてやった結果なのか把握し、もしミスであれば先ほど紹介したPractice機能やRange Builder機能で練習してみてください。
③Analyze
Analyze機能ではプレイしたハンドをまとめて分析することが出来ます。従来のGTO+やPioSolverといったGTOツールでは各レンジ、アクションを毎回設定して分析をしなければならず、1日に分析出来るハンドはせいぜい数ハンド程度でした。
それに対してGTO WizardのAnalyze機能を使えば、1日に何万ハンド分析することが出来ます。知らず知らずのうちにミスをしていたプレイも全て改善できます。
Analyze機能を使うには分析する対象となるハンド履歴が必要です。GG PokerやPokerStarsなどのハンド履歴が記載されたファイルをアップロードすることで使用できます。

分析結果では、EVロス、勝ち額を瞬時に確認出来ます。EVロスのあった部分を見つけ出し、どのプレイがミスだったのか右側に表示してくれます。
ここから先ほどのSolution機能やAnalyze機能に移動することで、更なるプレイの改善に繋がるでしょう。
【Analyze】GTO Wizardのハンド解析機能を紹介
GTO Wizard AIについて
2023年7月、新しい機能としてGTO Wizard AIというものが搭載されました。GTO Wizard AIはソルバーではなく人工知能が使われており、今までできなかったレンジの指定、ベットサイズの指定などを行うことができます。
中でも特徴的なのがベットサイズの最適化であり、AIが最適なベットサイズ1つを選んで戦略を作り出してくれます。
これまで複数のベットサイズに悩まされていた方はぜひ一度この機能を使ってみてください。1種類のフロップ限定ですが、無料で試してみることもできます。
GTO Wizardのメリット・デメリット
GTOツールは、GTO Wizard以外にもPioSolverやGTO+、MonkerSolverといったものがあります。要点からお伝えすると、安く簡単に始められるGTO Wizardを使うことをオススメします。最初は無料プランで使ってみて、気に入った方は有料プランに移っていくのが良いと思います。
ここからは具体的に何が違うのか紹介していきます。少し専門的な話になりますのでここの部分は飛ばしてもらっても問題ありません。
まず、世の中に存在しているGTOツールのほとんどは全てソフトウェアをダウンロードし、それぞれのシチュエーションをPCで計算します。そのためソフトウェアを購入するだけでなく、かなり演算能力の高いPCを用意する必要があります。
それに対し、GTO Wizardはブラウザで計算結果を閲覧するGTOツールです。すでに計算はされており、ユーザーはその結果を閲覧するだけなので普通のPC、スマホでも使えます。また、様々な分析ができるように多くの機能があるためGTOの理解をより深めることができます。
以上のことを踏まえて、大きな違いである①費用、②解析時間、③ノードロックについて紹介します。
初期費用が安い
あとで詳しいGTO Wizardの料金を紹介しますが、満足にGTO Wizardを使用できるプランが$89/月です。一見高いようにも思えますが、他のGTOツールと比較するとその差は歴然です。
例えば、昔からある有名なGTOツールのPioSolverを使う場合、ソフトウェア購入費の$475(PioSolver 2.0 pro)に加えスペックの良いPCを用意する必要があります。
どれくらい計算時間を縮めたいかにもよりますが、最低でも20万円はかかると思います。(筆者はRyzen 7 3800xを中心に自作PCを作って使用していましたが20万円以上かかりました。)
もちろん、GTO Wizardと違い、一度購入すれば永遠と使い続けることはできますが、それでも毎回解析に数分、複雑な設定にしたときは数十分かかりストレスは溜まります。
まだGTOツールを使ったことがない方は初期費用が安く、簡単に使えるGTO Wizardを使うことをオススメします。
解析時間がいらない
まずなんといっても解析するのに時間がいらないことがGTO Wizardの魅力です。すでに解析されたものを表示させているだけなのでPioSolverなどの従来のGTOツールと比較すると圧倒的な速さで使うことができます。
すでに解析されたものという点に関して、閲覧できるシチュエーションが少ないのではないかと不安に思う方もいると思います。しかし、キャッシュゲーム、トーナメント、Spin & Go、HU SNGなど様々なシチュエーションが用意されています。
キャッシュゲームだけでも、下記の画像のように様々なパターンが用意されています。スタックサイズが6パターン、アンティとストラドルの有無、ヘッズアップか6maxか9maxのプレイヤーの数など数えきれないほどのシチュエーションがあります。

具体的にどのシチュエーションがあるか気になる方は、一度GTO Wizardに登録して、ソリューションライブラリで確認してみてください。想像しているよりもはるかに多くのシチュエーションがあることがわかるでしょう。
ノードロックができない
完璧にも思えるGTO Wizardですが、ノードロック(相手の戦略を固定すること)ができないことが唯一のデメリットです。現状GTO Wizard AIを使用してフロップから特定のレンジ、スタックサイズ、ベットサイズなどを指定することはできますが、ターンやリバーの相手の戦略を固定することはできません。
今後GTO Wizardにノードロックの機能は追加される予定ですが、今どうしてもノードロックをしたいという方はPioSolverやGTO+を購入すると良いでしょう。
GTO Wizardの料金プラン
ここまでGTO Wizardがポーカーの学習に必須なツールと言うことをご説明してきましたが、1つ懸念点があるとすれば値段が少々高い点です。GTO Wizardでできることを考えれば、コスパは十分良いとは思いますが、ポーカーを休日の趣味にしているプレイヤーにとっては少々痛い出費かもしれません。

安心してください、回数制限はありますが、①キャッシュゲーム、②トーナメント(MTT)、③SPIN & GO(別名SNG)、④HU SNGの4種類のゲームは基本的な機能は無料で使い始めることができます。一度無料で試してみて、合っていると思えば、有料プランに切り替えると良いでしょう。
なお以下のリンクから購入する場合、全プラン10%オフで購入することができます。
Free:無料
無料プランでは、以下の機能を使うことができます。
- プリフロップの全てのソリューション
- ポストフロップのソリューション(1日1回)
- プラクティスモード(1日10回)
- ハンド解析(1ヶ月で5ハンド)
無料プランでもプリフロップのソリューションが見れるのは非常に革新的だと言えるでしょう。以前までは、GTOに基づいたプリフロップのオープンレンジなどは、MonkerViewerやPioSolverなどの解析結果を何十万円も払って購入する必要がありましたが、GTO Wizardはそれらを全て無料で公開しています。
無料登録だけして、プリフロップのソリューションを手に入れるのも良いでしょう。
またその他の機能も回数制限付きではありますが、お試しすることができます。
Starter:49ドル/月
※Hu SnGのみ39ドル/月
Starterプランでは、フリープランで使える機能に加えて以下の機能を使うことができます。
- ポストフロップのソリューション
- プラクティスモード(回数無制限)
- ハンド解析(1ヶ月で50ハンド)
- 基本的な集合分析
年間プランも選択することができ、こちらは468ドルとなっており、月額プランよりも20%安く買うことができます。
Premium:89ドル/月
※Hu SnGのみ59ドル/月
プレミアムプランはStarterプランでできる全ての機能に加えて、以下の機能を使うことができます。
- ハンド解析(1ヶ月10万ハンド)
- ウィークリーコーチング(ポーカー講座)
- 集合分析(応用)
- ブロッカースコア
- ポストフロップのソリューション(全てのスタックサイズ)
ハンド解析機能は1ヶ月10万ハンドに増えます。Starterプランの50ハンドは普段のハンドヒストリーを一気に解析するには少なすぎるため、この点が解消されます。また、集合分析が本格的にできるようになるのもプレミアムプランの特徴です。
プレミアムプランも年間プランを選択することができ、こちらは828ドルとなっています。
Elite:129ドル/月
エリートプランはPremiumプランでできる全ての機能に加えて、GTO Wizard AIの機能を使うことができます。
- カスタムソルバー
- 最も高いEVを見つけられるダイナミックモード
- ハンド解析(1ヶ月15万ハンド)
- AIマルチウェイソルバー(実装予定)
新しく搭載されたGTO Wizard AIを使うためにはエリートプランに加入する必要があります。1種類のフロップ限定ですが、無料で試すこともできます。
ベットサイズの最適化をしたい方、レンジやベットサイズの指定をしたい方にはおすすめの機能です。
なお今年(2023年)の11月まで月間プランが30%引きの$109/月となっています。
GTO Wizardの購入方法
GTO WizardのHPからアカウント登録をします。「Get started for free」を開いて、

GoogleもしくはFacebookアカウントでアカウント登録をします。

その後、購入したい方はページ上部右側にある「アップグレード」をクリックします。

様々なプランが表示されますので購入したいプランを選択し、クレジットカードもしくはPayPalで決済をすれば購入完了です。

ご不明点ある方は下記の連絡先までご連絡ください。
Twitter:@PokerAcademyJ
メールアドレス:info@pokeracademy.jp
ここまでGTO Wizardについて述べてきた通り、GTO Wizardは2023年のトレンドとなるツールであることは間違いないでしょう。もしあなたがポーカーを最速で上手くなりたいのであれば、試す価値は十分にあります。
