オーバーベットとは?オーバーベット戦略のやり方について解説

オーバーベットを普段から使用していますでしょうか?オーバーベットはNo-limitedが主流になった今では、かなり強力な戦略です。なぜなら少し前までLimit Hold’emが主流だったこともあり、オーバーベットにうまく対応できるプレイヤーは少ないからです。あるプレイヤーは多くフォールドし、あるプレイヤーはコールしすぎたりします。オーバーベットを使いこなすことで、あなたのポーカーレベルがひと段階アップするでしょう。

なお本記事はの内容は動画でもご覧いただけます。テキストよりも動画のほうが理解しやすいという方はぜひご覧ください。

オーバーベットとは

オーバベットとは、ポットより大きいベットを行うことです。具体的な例を示します。

ここではポットが$7.5に対して、Player1が$15のベットをしています。ベット額がポット額より大きいためこのベットはオーバーベットと呼びます。もう1つ例を紹介します。

ここでのポットは$36+$9で$45です。それに対してPlayer3は$82のレイズ(ベットともいう)を行っており、ベット額>ポット額となるため$82のレイズはオーバーベットといえます。

この2つの例から、オーバーベットとは何かご理解いただけたと思います。そこで次に、実際にオーバーベットの戦略についてご紹介します。

オーバーベットはなぜ行うのか

バリューをとるため

1つ目の理由はバリューを取ることです。当たり前とも思えまずが、多くのプレイヤーが小さくベットをしてしまいバリューを取り逃がしている場面があります。バリューの取り逃がしは本来とれるはずの額を失っていることでもあります。相手が絶対降りない場合は、オーバーベットでのバリューをどんどん打っていきましょう。

エクイティを実現させないため

2つ目の理由はエクイティを実現させないことです。オーバーベットが注目される最大の理由はここにあります。オーバーベットに対して多くの場合、相手がコールするハンドはとても強いハンドもしくはブラフキャッチャーに回ってしまいます。中途半端なハンドはフォールドせざるを終えず、相手のエクイティを放棄させることが出来ます。

エクスプロイトになるため

3つ目の理由は、エクスプロイトになるからです。オーバーベットに対して上手く対応出来るプレイヤーは少ないです。多くの場合、フォールドの頻度が高くなっています。特に中級者は大きなベットには降りる癖がついてしまっているためブラフでのオーバベットが有効です。

オーバーベットが有効な条件

ナッツアドバンテージがあるとき

1つ目の条件はナッツアドバンテージがある時です。とても強いハンドが自分のレンジに偏っていることです。

相手のレンジがキャップされているとき

2つ目は相手のレンジがキャップされている、つまりとても強いハンドはもっていない、中程度のハンドが多い時です。中程度のハンドのため、オーバーベットに対してコールすることが難しくなります。

※レンジについて詳しく知りたい方は『ポラライズってどういう意味?ライナーレンジやキャップされたレンジも紹介』をご覧ください

ラグカードが落ちたとき

3つ目はラグカードが落ちた時です。前のラウンドでベットやレイズをし、相手がコールをした際、次のラウンドで無関係なカードが落ちた時は引き続き、こちらのレンジにとても強いハンドが含まれることになります。そのため、オーバーベットを考慮できる場面です。

実際の例

先ほどの3つの条件を基に実際の例を見てみましょう。

プリフロップ
MP レイズ 3bb
BB コール 2bb

フロップ(ポット6.5bb)AhKc3d
BB チェック
MP ベット 4.88bb(75%)
BB コール

ターン 6s(ポット16.26bb)
BB チェック
MP ベット 24.38bb(150%)

この際、ターンでのMPのオーバーベットは条件を満たしているでしょうか。

①のナッツアドーバンテージを確認してみましょう。この場面はAA、KK、66、33のセットが強くなります。次にAK、A6、A3のツーペアが続きます。これのうち33は微妙ですが、ほかの強いハンドは全てMPのレンジに含まれています。それに対してBBのレンジはどうでしょうか。AAやKK、AKなどはBBのレンジには含まれておらず、33やA3といったはハンドもフロップでレイズに回していることが多いです。また66もフロップで降りている可能性が高いです。(GTOではフォールドが正解)そのためナッツアドバンテージの条件は満たしているでしょう。

②の相手のレンジはキャップされているでしょうか。先ほど述べたように強いハンドは少なく、ターンで強くなったハンドはA6sしかありません。そのため相手のレンジは中程度のハンドによっており、キャップされているといえるでしょう。

③のラグカードはどうでしょうか。6sというカードはストレート、フラッシュいずれも完成させるハンドではありません。ラグカードの条件は満たしているといえるでしょう。

実際にGTOによると、以下のようになっており、MPはターンでQJやJTsなどブラフハンドも含めた多くのハンドでオーバーベットを行います。※青色がオーバーベット

ターンでのオーバーベットに対してBBのアクションは以下になります。※赤がフォールド

Kのセカンドペア、さらにはAのトップペアも一部フォールドしなければなりません。BBにとっては辛い状況に追い込まれるでしょう。

EVとエクイティ

オーバーベットを考慮できる場面では、オーバ―ベットを行う側のEVがエクイティでは負けているはずなのに高くなることが多くあります。実際に先ほどの例でも、ターンでの互いのエクイティとEVは、

MPのエクイティ 46.2%
BBのエクイティ 53.96%
MPのEV 9.39
BBのEV 6.86

となっており、エクイティで勝っているはずのBBがEVでは押されている状況となっています。これは先ほどの例をみればわかるように、MPはQJなどのドローハンドでブラフを行えるのに対して、BBはドローハンドはおろか、トップペアまでフォールドしなければならなく、エクイティを実現することが出来ないからです。

相手のエクイティをいかに奪うのかが現代ポーカーの醍醐味です。オーバーベットが如何に強力な戦略か理解いただけたらと思います。

注意点

オーバーベットをする際によく自分に有利なカードが落ちたからという理由でする人がいます。しかしそれは間違いです。オーバーベットを行うポイントは先ほど挙げた3つの条件を満たしているかです。自分のレンジがポラライズされ、相手のレンジはキャップされている。そこがまさにオーバーベットを考慮すべきポイントです。

まとめ

最後に、オーバーベットを行う際は以下のポイントが重要です。

①ナッツアドバンテージがあるか
②相手のレンジがキャップされているか
③ラグカードが落ちたか

また、オーバーベットのサイズは決まっているわけではありません。自分のレンジがポラライズされればされるほどベットサイズは大きくなっていきます。オーバーベットを駆使して、相手を打ち負かしましょう!