適切なベットサイズはどのくらい?シチュエーション別に紹介

ポーカーはベットサイズが全てと言われているくらいベットサイズによって勝敗を大きく分けます。

ベットサイズはバリューの時やブラフの時と分けて考えることが一般的ですが、今回はレンジとボードを基にした新しい考え方を紹介します。

従来のバリューとブラフだけでは考えきれなかったシチュエーションを理解することができ、ポーカースキルは一段と上達するでしょう。

適切なベットサイズとは

ベットサイズはいくつが良いと思いますか?よく耳にするのは、

  • バリュー:コールしてくれる最大限の額
  • ブラフ:フォールドさせられる最小限の額

といった、バリューとブラフを基準にベットサイズを決める方法ではないでしょうか。

例えば、ストレートでナッツを持っている時は、最大限の額を取りたく、どこまでならコールしてくれるのか?ツーペアをターゲットにするのか、セットをターゲットにするかなど考えながらベットサイズを決めると思います。

反対に、ブラフの場合は相手がどれくらいならフォールドしてくれるのか。例えば相手がQのトップペアを持っていた時はポットベットにはフォールドするのかどうかなど考えながらベットサイズを決めます。

この方法ではバリューとブラフがはっきりとわかる時には有効ですが、境界線が不明瞭である時は使えません。そこでボードとレンジを基にしたベットサイズの決め方を紹介します。

プリフロップ

プリフロップでのベットサイズは、ポストフロップと違い固定されたサイズを使うことが多いです。

オープンサイズは2.5bb-3bbが適切と言われています。ただしこの額はスタックによって増減します。スタックが深くなればベットサイズは上がり、スタックが少なくなればベットサイズは小さくなります。

※ブラインドベットがあるため厳密にはレイズサイズ

例えば、トーナメントでは中盤以降になるとスタックサイズが10bb、20bbになってきます。その時は、2bbのサイズがよく使われます。

また、3betのサイズはIPだと3倍、OOPだと4倍の額が良いでしょう。相手のオープンサイズが2.5bbの時は7.5bbか10bbとなります。

他にもリンパーがいる時はリンパーの人数×1bbを追加します。リンパーが2人なら、2bb(リンパーの人数)+2.5bb(通常のサイズ)= 4.5bbbとすると良いです。

ポストフロップ

ポストフロップのベットサイズはどのようにしたら良いでしょうか?

ポストフロップのベットサイズは互いのレンジとボードで決まります。一般的にボードがドライであればあるほどベットサイズは小さくなり頻度が増加します。反対にボードがウェットであればあるほどベットサイズは大きくなり頻度が減少します。

レンジ全体で小さいベット

レンジ全体で有利性があり、ボードがドライな時、小さなサイズで打つことが多いです。例えば、BTNオープン、BBコールでフロップがQ72の場面があったとします。BTNオープン、BBコールの場面でフロップがQ72です。

ここでのBTNのレンジはエクイティを54%も有しておりレンジ全体で有利であることがわかります。

それもそのはず、BBはQQやAQ、KQなどの強いハンドはプリフロップで3betに回しているためここでは持ち得ません。それに対してBTNはこれらのハンド、全てを持っており、BBに比べて強いハンドの割合が多いでしょう。

レンジの有利性があり、ボードがドライな時は小さいベットサイズが好まれます。GTOの結果でもチェックが17%、27%のベットサイズが55.5%、73%のベットサイズが25.1%、127%のベットサイズが2.3%などと比較的小さなサイズで広くベットしていることがわかります。

しかしここで、QQやAQといった強いハンドを持っているにも関わらず、小さいベットサイズは勿体無いのではないか?と思った方はいないでしょうか。

確かに、ここで小さいサイズを使ってしまうとバリューを逃しているように思えます。しかし、強いハンドの時だけ大きいサイズを使ってしまっては相手にバレてしまい、通常コールしてくれるようなハンドでもフォールドされてしまいます。

相手に簡単にバレないためにも、レンジ全体で有利性がある時は小さいサイズで頻度を増加させてベットすることが有効です。

レンジを狭く大きいベット

先ほどとは違い、ボードがウェットな時は大きなベットサイズを使用します。例えば、UTGオープン、BBコールで、フロップがJ65の場面があったとします。

先ほどのQ72フロップに比べて、ボードがウェットであり、大きなサイズの頻度が増加します。エクイティを見てみると、54%で勝っているものの、相手にもセットやツーペアといった強いハンドやOESDやフラッシュドローなど強くなるハンドが存在し、中程度のエクイティでは有利性がありません。

そのため、チェックが42.7%、27%のベットサイズが25.2%、73%のベットサイズが29.7%とベットレンジを狭め、大きなサイズを使う頻度が増加します。

このように、ドライボードとは違い、ウェットボードの時は大きなベットサイズが使われやすいです。

ちなみに、この大きなベットサイズの最上級がオーバーベットです。オーバーベットはウェットボードかどうかは関係ありません。

  • ナッツアドバンテージがある時
  • 相手のレンジがキャップされている時
  • ラグカードが落ちた時

といった3つの条件を満たしたときに行われます。オーバーベットについて詳しく知りたい方は『オーバーベットとは?オーバーベット戦略のやり方について解説』をご覧ください。

ベットサイズのエクスプロイト

ベットサイズの基本を紹介したところで、ベットサイズを使ったエクスプロイト方法について紹介します。

ベットサイジングテル

大きなサイズのベットにフォールドすることでエクスプロイト出来ます。

ポーカー初心者に多くあるのが、大きいサイズのベットがバリューに偏りすぎてしまうことです。特にポットが大きくなった時のリバーでのベットはほぼバリューです。

頻度を正しくベットをしようとすると、リバーでポットサイズのベットをする時はバリュー:ブラフの比率を2:1にしなければなりません。そうすれば相手はコールしてもフォールドしてもEVが同じなため勝つ術がなくなります。

しかし、実際のところこの頻度でブラフを行えているプレイヤーは少ないです。そのため、相手が大きなサイズのベットをしてきた際は、フォールドの頻度を増やすことでエクスプロイト出来るでしょう。

c-bet

小さいサイズのc-betの頻度を上げることでエクスプロイト出来ます。

多くのプレイヤーはc-betに対して十分にディフェンス(コールorレイズ)が出来ていません。先ほど紹介した、BTNオープン、BBコールの場面で27%ポットのc-betをBTNが行った際、BBは十分にディフェンス出来ているでしょうか?

GTOの計算結果によると、BBは緑でコール、赤でレイズする必要があります。

しかし、A7sや86s、85sでレイズ出来ているプレイヤーはいるでしょうか?K4sとかでレイズ出来ているプレイヤーはトッププロの一部でしょう。

相手がしっかりとディフェンスしない以上、より頻度をあげてベットをすることが出来ます。c-betの頻度を上げてエクスプロイトしていきましょう。

まとめ

今回は、①レンジの有利性があり、ドライボードの時は全レンジで小さいベット、②ウェットボードの時は少ないレンジで大きいベットを紹介しましたが、これらはあくまで傾向があるだけで絶対ではないです。

どんな場面でもこのサイズが正しいといったものは存在しなく、互いのレンジ、ボード、対戦相手の傾向を踏まえてベットサイズを決めていく必要があります。

最も相手からチップを奪えるベットサイズを日々考えて、相手を打ち負かしていきましょう!