ポーカーのエクスプロイト戦略とは?メリットやデメリットを解説

対戦相手をエクスプロイトすることは、ポーカーの最も楽しい部分の1つです。対戦相手の思考や癖を考えながらどのプレイが期待値が高いプレイなのか常に模索することで大きな差を生むことが出来ます。

そんなエクスプロイトについて、どうエクスプロイトすることが効果的なのか見てきましょう。

エクスプロイト戦略とは

エクスプロイト戦略とは相手のミスにつけ込む戦略のことです。ポーカーでは数学上の正しいプレイと言われるGTOというものがあります。

※GTOについて詳しく知りたい方は『GTOとは?ポーカー用語解説』をご覧ください。

そのGTOのラインから外れる=ミスであり、相手のミスが多ければ多いほどより利益を得ることが出来ます。

この相手のミスを自発的により大きくしていくことがエクスプロイト戦略です。例えば、相手が5のミスをしたとします。自分はGTO通りプレイしていれば得られる利益は5です。

しかし、エクスプロイト戦略でGTO戦略と異なるプレイをすることで、相手のミスを10だったり20だったりと大きくすることが出来ます。

エクスプロイト戦略を行えば行うほど、より利益的なプレイにすることが可能です。

メリット

エクスプロイト戦略のメリットは、最大限の利益的なプレイが出来ることです。通常よりもより勝てるようになるでしょう。

実はこのエクスプロイト戦略は多くの人が行なっています。例えば、リバーのレイズはナッツでしかしない人を見かけたたりしませんか?

こういったプレイヤーには例え自分がレイズに対してコール出来るハンドを持っていたとしてもフォールドするのが正解でしょう。これはGTOから外れた一種のエクスプロイト戦略です。

エクスプロイト戦略は知らず知らずのうちに、多くのプレイヤーが自然と行なっている戦略です。

デメリット

メリットは、最大限の利益的なプレイが出来るとのことでしたが、デメリットは何でしょうか?

エクスプロイト戦略のデメリットは、こちら側がエクスプロイトされてしまうことです。GTO通りのプレイをしていればこちら側がエクスプロイトされることはありません。

しかし、相手の戦略を見積もり、それに合わせてエクスプロイトするも、相手がそれを察知して更にエクスプロイトしてきた時は、大きな被害を被るでしょう。

エクスプロイトを行うときは、相手がエクスプロイトにどこまで気づくのか見極めながら行わなければいけません。

エクスプロイト戦略のやり方

エクスプロイト戦略は実際にどう行うのか3つのパターンに分けて解説します。

ベット/レイズ頻度が高い相手

ベット/レイズ頻度が高い相手に対しては、レイズとコール頻度が増加します。

実際に、ベット頻度が高い相手に遭遇した場合、どういう戦略を用いるべきかGTOツールを使用して見ていきます。

今回分析するスポットは、COオープン→SB3ベット→COコールし、フロップ865の時です。この際、GTO戦略ではSBは38.1%の頻度でCベットをします。それに対し、COはレンジの9.14%でフォールド、90.9%でコールをします。

※SB 3bet vs CO(GTOWizardの50NL complex)、ベットサイズ: 33%、レイズサイズ:60%、プリフロップ:2.5bb 、11bbの3bet、スタック100bb、レーキ5%、Cap4

このGTO戦略を変更し、SBが100%の頻度でCベットをするようにします。すると、COのGTO戦略は変わり、フォールド頻度が9.14%→0%、コール頻度が90.9%→87%、レイズ頻度が0%→13%と変化します。

このように、ベットやレイズ頻度が高い相手に対してはレイズ頻度やコール頻度を上げ、エクスプロイトします。

コール頻度が高い相手

初心者によく見かけるコール頻度が高い相手には、バリューでのベットやレイズを増やして、ブラフでのベットやレイズを減らします。

ブラフをしてもキャッチされやすいためブラフは利益的なプレイではなくなります。しかしバリューの時はコールをしてくれるため、自分がある程度強いハンドを持っていた時は、ベットやレイズを多くしてエクスプロイトすることが出来ます。

先ほどと同様、GTOツールを用いて対戦相手がトップペア、セカンドペアはリバーでのベットに対して全てコールする際の戦略の変化について見ていきます。

今回はQJ624のフロップで、BBはQとJのペアは全てコールします。

※下記の画像の通り、通常のGTO戦略ではJのペアは半分以上フォールドします。

相手がJの一部をフォールドするGTO戦略を用いてきた場合は、A3sやK8sなどブラフも混ぜベットします。

しかし、対戦相手がトップペア、セカンドペアを全てコールしたとすると、ブラフハンドはなくなり、トップペア以上のバリューベットのみとなります。

このように、コール頻度が高い対戦相手には、ブラフを減らし、バリューの割合を多くすることでエクスプロイト出来ます。

フォールド頻度が高い相手

コールしなければいけないハンドでもフォールドしているような相手にはブラフでのベットやレイズを増やすことでエクスプロイト出来ます。

実際にGTOツールを使い、リバーのベットに対し、セカンドペアは全てフォールドする対戦相手の場合、どう戦略が変化するか見ていきます。

今回はKJ627でBBはJのペアは全てフォールドするとします。

通常、GTO戦略ではリバーのベットに対してはKのペアとツーペア、Jのペアの一部でコールします。しかし、今回はJのペアは全てフォールドする対戦相手の場合どう変化するか見ていきます。

対戦相手がGTO戦略を用いてきた場合では、61.6%でブラフとバリューを混ぜながらベットしますが

相手のコール頻度が減少すると、ベット頻度が61.6%→85%と増加し、Axsやローポケットでのブラフが増えます。

このように、コール頻度が低い対戦相手にはブラフでのベットやレイズを増やしていくことでエクスプロイトすることが出来ます。

1つのノードだけではない

先ほどの例ではある特定の1つのスポットに限って、相手の戦略を固定しましたが、実際の相手はあらゆるところでミスをしています。

例えば、フロップでのコール頻度が高い相手にはフロップでのエクイティの低いハンドでのベットを減らすと良いですが、実際は、ターン、リバーではコール頻度が少ないかもしれません。

そういった相手には、エクイティの低いハンドでもフロップから積極的にベットすることが肯定されるかもしれません。1つのノードを見るだけでは実際には不十分で全てのノードを見た上での戦略を構築する必要があります

ただ複数のノードを固定することは大変な作業であり、1つ1つ検証していくことは不可能に近いと思います。

まとめ

エクスプロイト戦略は、対戦相手から最大の利益を取るために必須の戦略です。

人間はGTO通りにプレイすることは不可能です。そのためミスはどこからしらに存在しています。そのミスを見つけ出し、エクスプロイトしていくことで大きく勝てるようになるでしょう。

ただ実際にどの戦略が最も高いEVになっているかは不明瞭です。さまざまな思考を張り巡らせながら自由なプレイをしていくといつかは正解に近づくことができるかもしれません。