ポーカーのエクスプロイト戦略とは?メリットやデメリットを解説

対戦相手をエクスプロイトすることは、ポーカーの最も楽しい部分の1つです。対戦相手の思考や癖を考えながらどのプレイが期待値が高いプレイなのか常に模索することで大きな差を生むことが出来ます。

そんなエクスプロイトについて、どうエクスプロイトすることが効果的なのか見てきましょう。

エクスプロイト戦略とは

エクスプロイト戦略とは相手のミスにつけ込む戦略のことです。

ポーカーでは概ね正解であろうとされているプレイが存在します。いわゆるGTOと言われているもので、GTO Wizardなどのポーカーツールでどういったプレイになるか確認することができます。

このGTOのラインから外れる=ミスであり、相手のミスが多ければ多いほどより利益を得ることが出来ます。

※GTOについて詳しく知りたい方は『GTOとは?ポーカー用語解説』をご覧ください。

実際GTO通りに完璧な戦略を遂行することは不可能ですので、誰でもそのミスはあり、そのミスに自発的に付け込み自身の戦略をGTOから外してプレイすることをエクスプロイトと呼びます。

メリット

エクスプロイト戦略のメリットは、最大限の利益的なプレイが出来ることです。通常よりもより勝てるようになるでしょう。

実はこのエクスプロイト戦略は多くの人が行なっています。例えば、リバーのレイズはナッツでしかしない人を見かけたたりしませんか?

こういったプレイヤーには例え自分がレイズに対してGTOではコール出来るようなブラフキャッチャーを持っていたとしてもフォールドするのが正解でしょう。これはGTOから外れた一種のエクスプロイト戦略です。

エクスプロイト戦略は知らず知らずのうちに、多くのプレイヤーが自然と行なっている戦略です。

デメリット

メリットは、最大限の利益的なプレイが出来るとのことでしたが、デメリットは何でしょうか?

エクスプロイト戦略のデメリットは、こちら側がエクスプロイトされてしまうことです。GTO通りのプレイをしていればこちら側がエクスプロイトされることはありません。

しかし、相手の戦略を見積もり、それに合わせてエクスプロイトするも、相手がそれを察知して更にエクスプロイトしてきた時は、大きな被害を被るでしょう。

エクスプロイトを行うときは、相手がエクスプロイトにどこまで気づくのか見極めながら行わなければいけません。

エクスプロイト戦略のやり方

エクスプロイト戦略は実際にどう行うのか2つ解説します。

リバーでのブラフキャッチ

最も簡単な例は、リバーでオールインをされ、ブラフキャッチするかどうかです。正解であろうものを確認したければGTO Wizardなどのソルバーを使えば良いですが、実際相手のバリューとブラフの比率はめちゃくちゃです。

ブラフが多い人もいれば、少ない人もいるでしょう。そうしたときはある程度仮定を持って実際に計算をしてみます。例えば、リバーでポットサイズのオールインをされて、相手のスタックをカバーし、バリューには負けているがブラフには負けているハンドを持っているとします。

その時は、①レンジを想定、②コンボ数を数える、③バリューブラフ比を計算する

とブラフキャッチをするかどうか決定することができます。

これがオールインではない場合は、自身のハンドの特性(強さ)にあわせてそれぞれコール、フォールド、レイズの期待値を求めれば正しいプレイがわかるでしょう。(ただし仮定がズレていれば間違いとなります)

フロップのCベット

先ほどはコールorフォールドの選択肢だけでしたが、今回はCベットという複数の選択肢がある場合を考えてみます。理想的には、Cベットした場合としない場合に分けて、ターン、リバーの様々なノード(分岐点)でエクスプロイトを考えたいですが、ベットサイズだけで無限に選択肢があるのであまり現実的ではありません。

そこで、GTO WizardなどのGTO戦略をもとに、どうすべきか考えます。例えば、下記のUTG vs BBでAJsを持っていたとします。ここでは33%ベット(オレンジ)が最も使われていますが、エクスプロイトとしてはどのサイズを使うべきでしょうか?

まず相手のCベットに対する戦略を見てみます。

vs 33%Cベット

vs 50%Cベット

サイズによるフォールドの境目は7以下のポケットペアとバックドアドロー(T9sやJTs)になります。ここがサイズによって変わらないのであれば大きなサイズを使うべきですし、大きく変わるのであれば小さなサイズを使った方が良いでしょう。

このようにエクスプロイトを考える時は相手のアクションの境目となるハンドに注目し、そこでの選択肢がどう変わるか考えるとより効果的なエクスプロイトができるようになると思います。

1つのノードだけではない

よく「ノードロックを使えば正しいエクスプロイトができる」といった発言が見受けられますが、それは本当なのでしょうか?

実はソルバーのノードロックを使う時に注意しなければならないのは、ソルバーは一つのミスを行うと、そのミスを補おうとして他のノードも修正してしまうことです。

例えば、UTG vs BBでUTGのCベットに対してBBのレイズを過少にしてノードロックをしてしまうと、BBはそのミスを補おうとドンクベットを検討し始めます。

左→レイズ頻度を0に、右→元のGTO戦略

BBのドンクベット

これでは先ほどの仮定とは異なる新たな均衡が生まれてしまっていますので正しくエクスプロイトはできていないでしょう。

また、実際相手は複数のミスをしています。例えば、フロップでのコール頻度が高い相手にはフロップでのエクイティの低いハンドでのベットを減らすと良いですが、実際は、ターン、リバーではコール頻度が少ないかもしれません。

そういった相手には、エクイティの低いハンドでもフロップから積極的にベットすることが肯定されるかもしれません。1つのノードを見るだけでは実際には不十分で全てのノードを見た上での戦略を構築する必要があります

ただ複数のノードを固定することは大変な作業であり、1つ1つ検証していくことは不可能に近いと思います。

まとめ

エクスプロイト戦略は、対戦相手から最大の利益を取るために必須の戦略です。

人間はGTO通りにプレイすることは不可能です。そのためミスはどこからしらに存在しています。そのミスを見つけ出し、エクスプロイトしていくことで大きく勝てるようになるでしょう。

ただ実際にどの戦略が最も高いEVになっているかは不明瞭です。さまざまな思考を張り巡らせながら自由なプレイをしていくといつかは正解に近づくことができるかもしれません。