15年間プロとして活躍!木原直哉がこれまでのプロ生活を語る

【木原直哉】北海道名寄市生まれ。東京大学卒。東京大学在学中には将棋部に所属しつつ、バックギャモンのプレーヤーとしても活動。その後プロポーカープレイヤーとなり、2012年のWSOPでPLOで日本人初の優勝を果たす。

15年に渡ってプロポーカープレイヤーとして活躍している木原直哉さんに、これまでのプロポーカープレイヤーとしての生活を根掘り葉掘り聞いてきました。

プロポーカープレイヤーという珍しい職業の実態を知りたい方はぜひご覧下さい!

ポーカーとはいつ出会ったのですか?

2007年ぐらいに以前からバックギャモンで知り合いだったZakiさんからオンラインポーカーを打っているのを後ろから見させて頂いたのがきっかけです。当時はルールも知らない状態でそこからポーカーを教わりました。

プロとして活躍できると確信したのはいつですか?

ライブカジノは、2008年にバックギャモンの大会でモナコとカンヌを回った際、カンヌで€5/€5のテーブルでプレイしたのが最初です。

カンヌでは€5/€5が一番下のレートなのですが、当時学生だった自分にとっては高かったため、友達に半分ステーキングしてもらいました。そこで1週間毎日プレイして€3,000ぐらい勝ちましたね。

これくらいの時期からバックギャモンよりポーカーをメインでプレイしていくようになりました。ポーカーを覚えて1年の初心者でしたが、確実に利益が出ると分かりましたね。

これまでのプロ生活で一番精神的に参ったことは?

2011年5月ですね。当時、$1/$2を打っていて$6,000ぐらい下振れたんですよ。履歴をチェックしたら、AK対QQ、QQ対AKで合計20勝40敗くらいで。

それが結構きつかったです。しかもzoomではなく普通にリング6面なので、ハンド数も3万ハンドいかないにも関わらず、$6,000下振れていたんです。

大学卒業した直後でポーカーしかやっていない時期に下振れてしまい、就職もしないでポーカーしかしないのになんでお金減っているの?となりましたね。

その$6,000によってプレイ出来なくなるわけではないのに精神的に参りましたね。もっと高いレートでやっていたらもっとボコボコだったかもしれないです。

なぜホールデムからミックスゲームに転向?

2011年にブラックフライデーが起こったことでオンラインプレイヤーがライブに流れ、当時私が打っていた$5/$10のホールデムは鬼のようなレベルの上がり方をしたんですね。

※ブラックフライデーとは、アメリカで大手オンラインサイト3つが起訴され、そのうち2つのPokerStarsとFull Tilt Pokerがアメリカ国内でプレイ出来なくなった事件

でも奥の方でやっているミックスゲームを見てみると、平均年齢60歳ぐらいでテーブル囲んでいるんですよ

しかも$100チップをポンポンと投げていて、はいポン!コールみたいな。$100/$200だったら1ベットが$200なので、パッと$200飛んでいくんですよ。

それでポットがあっという間に$2,000、$3,000に毎回膨れ上がっているのを見たときに、ホールデムなんかやっている場合ではないと思いましたね。

そこからミックスゲームをやり始めました。それまで一切ミックスをやっていなくて、基本ホールデムでしたけれど、あれを見て絶対勉強しなければいけないと感じました。

2011年に日本に帰って来てからPLOも含めミックス全般を勉強しました。1年では全然強くならないので、当時はまだまだ弱かったですけどね。

それでPLO歴ほぼ1年くらいの2012年にWSOPを優勝しました。

2012年はミックスを始めて、2013年から本格的にミックスゲームとPLO、両方を打ち始めました。

ベラージオで$20/$50のPLOと$100/$200ミックスが両方動いていて、早い時間から動くのがPLOなんですよね。PLOはスタートの時に座って夕方になってくると、どんどんスタックが深くなるうえに、テーブルが辛くなるんですよ。

12時とか午後1時きっかりのスタート時からいるプレイヤーは弱いプレイヤーが多いですが、午後5時、6時、7時になると、昨日遅くまでプレイしていて遅く起きたプロがくるんですね。

そうするとメンバーが入れ替わり、テーブルが辛くなってくる時間帯の午後6時、7時にミックスがスタートするので、ミックスを打ち始めます。最初6時間PLOを打って、その後6時間ミックスを打って1日が終わりみたいな。結構そういうことが多くなりましたね。

今後もポーカープロとして活躍していくのですか?

自分は結構、上達が止まっているところがあるんですよね。2019年の自分より強くなったと感じることが少なくて、今の自分が2019年の自分に勝てている部分は、いくつかのミックスゲームの種目の中で当時苦手だったけれど今はだいぶ克服した種目くらいなんですよね。

例えば、ノーリミットホールデムで自分がどれだけ強くなったかというと怪しくて、PLOは寧ろ最近プレイしていないから鈍っているかもしれないですね。

それでも今はまだ全然稼げますが、次第に他のところに手を伸ばす時期かなと思っています。流石に同じことを50歳になっても続けるのは無理ですよ。

今後は少しずつ収入が減りながらポーカーをやり続けるのか、それとも手広くまた再出発ではないけれど他のことをやるのか模索している最中です。

この他にも二つのトピックについてお話をいただいたので、ぜひこちらの記事もご覧ください。

>>木原直哉の語るポーカーの勉強方法とは!

>>プロになることはオススメできない?木原直哉さんにポーカーの未来について聞いてみた

取材・文/三輪 歩夢