木原直哉の語るポーカーの勉強方法とは!

今回は進化が早いポーカーという世界で、プロポーカープレイヤーとして活躍し続けている木原直哉さんに、ポーカーで強くなるにはどのような勉強をすれば良いかについて教えてもらいました。

【木原直哉】北海道名寄市出身。東京大学卒。東京大学在学中には将棋部に所属しつつ、バックギャモンのプレーヤーとしても活動。その後プロポーカープレイヤーとなり、2012年のWSOPでPLOで日本人初の優勝を果たす。

木原さんがポーカーを始めた当時は、どのように勉強されていましたか?

プレイしてハンドを見直すぐらいですかね。あとは仲間内で議論するしかないです。その繰り返しですね。あとは目新しいプレイを強いプレイヤーがやっているのを見つけた際に、その意図を考えたら大体分かるじゃないですか。

結局のところ、ポーカーは単純でハイリスクハイリターンかローリスクローリターンかどっちかなんです。

強いと分かっているプレーヤーが何か普通ではないプレイをしたらその理由を考えます。

普通ではないプレイにデメリットがあるのは明らかですが、強いプレイヤーがそれをするのは、デメリットを上回るメリットがあるからなんですね。そのメリットは何なのか、それを考えていくと大体わかります。

こういうことを考えてそのプレイヤーは選んでいるんだなと、それが新しい戦略の考え方なんだなというのはプレイしていれば分かるので、それを面白そうと思ったらやってみますし、いやさすがにダメでしょと思ったらやらなかったり、でも一応やってみることもあります。

それでこれは良い戦略かもと思った場合は、自分なりの引き出しに加える感じですかね。

目新しいプレイを見つけるのに当時良い方法とかありましたか?

https://www.youtube.com/watch?v=1W7934Xf3-c

自分が一番勉強法として活用したのは、PokerStarsのWCOOPとSCOOPのリプレイです。全員のハンドを公開したうえでのリプレイなのですが、トーナメントのファイナルテーブルだからみんなガチなんですよ。

勿論、ICM要素が関わってくるからそれを差っ引いて考えないといけないけれど、本当のトッププレイヤーのハンドが全部見えた状態でどのようにプレイするかが完全に分かるんです。これは自分の中で良い勉強ツールでしたね。解説はないですけれど、どういう意図でプレイしているのかはある程度はやっていると分かるようになってくるので、それは勉強になりました。

今からポーカーを始める人は、どういった勉強法をすれば上手くなれますか?

どこを目指してポーカーをプレイするのかによります。

PokerStarsの10NLで勝ち越せるプレイヤーは、初心者からしたらかなり強いプレイヤーになるじゃないですか。そこを目指しているのか。それとも世界のトッププレイヤーみたいな人を想像しているのかによって変わるので、一言で答えるのはかなり難しいです。

テーブルで一番強いプレイヤーになるには

アミューズメントカジノのテーブルで一番強いプレイヤーになりたいという意味では、プレイを沢山行ってしっかり反省することですね。

今はGTOWizardやPokerSnowieなどで解析結果が沢山出てくるのでそれで反省しても良いですし、気になったスポットをPioSolverでピコピコやるのが良いと思います。ただ、基本的にはそういうことをできる時点で結構上手ですけどね。

PokerStarsの10NLくらいを勝ち越すには

テーブルで一番強いプレイヤーになりたいのであれば、特定のスポットを深く解析するというのは要求しなくても良いですが、10NLとかそれより上のレートを攻略したいと思ったら、そういうことをやっていくのが必須になっていくと思います。

トッププロを目指すには

ある程度までは既存のツールなどを使ってひゅっと行ってしまえばいいのではないでしょうか。

ただある程度まで行った後、そこから先を上っていくのであれば、既存の勉強法だけではダメです。

他の人ができることをできるようになったところでトップにはなれません。トップは他の人ができないことができて初めてトップなんです。他の人ができないことを自分は沢山できるようにすることが重要です。

他のトッププロができないことを自分は沢山できる状態でないとトッププロにはなれないので、既存のプレイを追うだけだとトッププロにはなれない。自分はノーリミットホールデムでは、そこを上っていくのは性に合わないので、最初からずっとミックスをプレイしています。

プロになるにはやっぱり才能は必要ですか?

説明なしで強いプレイヤーのプレイを見ているだけで考えてることが分かるぐらいにはそれなりの早さで到達できなければ、すごく強いプレイヤーにはなれないです。

ただそれも強くなりたいと言ったときに、テーブルで一番強いプレイヤーになりたいというレベルだったら、プレイ見ただけで意図が理解できるところまで行かなくても全然問題ないです。でも50NL勝ち越すってレベルだとそもそもそれができないと才能がない、そこは論外ですね。

GTOツールとはどのように向き合うべきでしょうか?

凄く気になったスポットとか、一つのハンドとかをすごく深堀りすることが重要ですね。

例えば、ベットサイズ33%、75%、オーバーベットで、33%が正しいとなったら、そこを外して25%と33%と40%の3つでまたかけ直しをする人はあまりいなくないですか?

でも多分強い人はやってますよね。そういう風に変えて調べてみようって思うのは強い人からしたら自然で当たり前なんです。

それは、数学の勉強する時に数学の勉強は色んな問題を暗記することだと主張する人と同じですよね。

自分は数学得意なのですが、数学得意な人からすると「いや、それ暗記するのってめちゃくちゃ効率悪いよね」と思いません?数学の解法や公式を暗記するとかは、頑張る方向間違ってますよね。暗記するんじゃなくてどうしてそうなるかを突き詰めて理解した方が良いです。

プリフロップのレンジを1つ入れ替えたら、解析結果が大きく変わることはよくありますよね。そういった人は、それをプリフロップのレンジ表とかを少しかえて計算させてみようだとかそんなこと思いもよらないんですよね。

ただ、本当はそこのほうが本質で、そのようなことを考えて使わないと結局意味がないと思います。

編集後記

プロポーカープレイヤーである木原直哉さんにポーカーで強くなるにはどうしたら良いのかについて深くお聞きすることができ、大変勉強になりました。一人のポーカープレイヤーとして、目指すべき指針が定まったように思えます。

この他にも二つのトピックについてお話をいただいたので、ぜひこちらの記事もご覧ください。

>>プロになることはオススメできない?木原直哉さんにポーカーの未来について聞いてみた

>>15年間プロとして活躍!木原直哉がこれまでのプロ生活を語る

取材・文/森 大維河