トーナメントではブラインドとアンティが上がっていくため、キャッシュゲームのように常に同じスタックで戦うことはできません。ショートスタックになれば、プッシュオアフォールド(オールインもしくはフォールド)を選ばなくてはならないシチュエーションが発生します。
そのため、トーナメントではブランドレベルと自分のスタックに応じて柔軟にプレイを変える必要があります。今回は自分のスタックがどれだけ安全であるかを確かめることができる指標、M値(M-ratio)をご紹介します。
M値の計算方法
M値とはあなたのスタックがブラインド及びアンティに何ターン耐えられるかを表します。英語ではM-ratio、M-factor、Mなどと呼ばれています。
M値は以下の計算で算出が可能です。
M値 = スタック÷(SB+BB+アンティ)
スタックをSBとBBとアンティ(通常のアンティであれば、人数×アンティ、BBアンティであればBB)で割った値がM値です。
では実際に計算してみましょう。
自分のスタックが80、SBが2、BBが4、アンティが1の場合M値はいくつになるでしょうか。
答えは80÷(4+2+4)=8 となります。この8という数値はすべてのハンドをフォールドした場合に、8週することができるということです。しかし当然ですが、途中でブラインドレベルが上がれば、8週以下になります。
M値の使い方
それでは実際にどのようにM値を利用すればよいのでしょうか?ここではWSOP優勝者のDan Harringtonが提唱した、M値の場合分けと使い方をご紹介します。
M値 > 20(安全圏)
20以上のM値はスタックに十分に深い状態です。40BB以上のスタックであることが多いでしょう。多少チップを失ったとしても、まだ余裕があると言えます。
キャッシュゲームとさほど違いを感じることなくセオリー通りのプレイをすることが可能です。
10 ≤ M値 ≤ 20
25BB~40BBあたりのシチュエーションになります。ここら辺で、スタックの少なさにプレッシャーを感じ始めるでしょう。
オールインまでにさほど猶予がないため、ローポケットや65sのような低いスーテッドコネクターなど、投機的なハンドはプレイしずらくなってきます。通常通りタイトにプレイをしている余裕はないため、積極的にポットをとりに行く必要があります。
6 ≤ M値 < 10
12BB~25BBあたりを指します。
ローポケットなどの一部のハンドはプッシュオアフォールドレンジに入りはじめます。フロップ以降で余裕を持ってプレイすることができないため、マージナルなハンドでBBに不用意にコールしたり、リンプインなどはしてはいけません。
1 ≤ M値 < 6
2BB~12BBあたりを指します。ほとんどのハンドはプッシュオアフォールドでの参加となります。オールインでブラインドを積極的に奪いにいき、ダブルアップを目指します。
M値 < 1
2BB以下の状況であることがほとんどです。こうなってはもう何もできることはありません。全てのハンドでオールインをし、運に身を任せましょう。あなたの全てのアクションに対して、多くのプレイヤーはコールするでしょう。
基本的にM値が1以下になることは稀です。通常この数値になる前にオールインをしてトーナメントを脱落しているか、ダブルアップしているためです。オールイン勝負で負けた際に相手のスタックをわずかにカバーしていた時などにこの値になることがあります。
相手のM値も考慮する必要がある
ここまでM値がトーナメントにおける自分のアクションを決める上で、重要な指標になることをお伝えしてきましたが、相手のM値を把握するということも同じくらい重要です。
例えばあなたがBTNでBBのM値が3未満だっとしましょう。この場合どんなオールインに対してもコールしてくることがほとんどです。そのため、スチールは望めません。
M値を利用することで、スタックサイズによって適切な戦略を取れるようになります。M値を利用してトーナメントを勝ち抜きましょう。