ポーカーにおけるフォールドエクイティとは?

フォールドエクイティはあいまいな概念のように思えますが、きちんと理解すれば強力な武器となります。

またフォールドエクイティを理解することで、ベットについての理解が深まるでしょう。特にドローハンドを持っているとき役に立つ概念ですので、押さえておきましょう。

なおフォールドエクイティを理解するにはエクイティについて知っている必要があります。

エクイティってなんだっけ?という方は「ポーカーにおけるエクイティとは?計算方法を理解しよう」を読んでエクイティについておさらいしてからこの記事に戻ってきてください。

フォールドエクイティとは

フォールドエクイティとは、自分のベットに対して相手がフォールドすることが期待できるときに得られる追加のエクイティのことを指します。

あなたが相手に対してベットする際には相手がフォールドする可能性があります。相手がフォールドした際には、あなたはハンドの強さに関係なく、全てのポットを獲得することができます。

フォルドエクイティとはこのような相手がフォールドする可能性に対するエクイティのことです。

つまりフォールドエクイティを考慮した上での総合的なエクイティはハンドエクイティとフォールドエクイティを足し合わせたものとなります。

エクイティ = ハンドエクイティ + フォールドエクイティ

フォールドエクイティの計算方法

フォールドエクイティは以下の計算方法で算出することができます。

フォールドエクイティ = 相手がフォールドする確率 × 相手のエクイティ

実際は相手がフォールドする確率や相手のエクイティはわからないため、あくまで推測で計算する必要があります。

そのためフォールドエクイティの計算の正確さはあなたのハンドリーディングにかかっています。

注意点:フォールドエクイティは、人によって計算方法や定義が異なっており、以下の定義でフォールドエクイティを解説してある場合も存在します。これもフォールドエクイティという概念が曖昧になる理由の一つでしょう。

フォールドエクイティ = 相手が降りる確率 × ポット

この場合、相手のハンドエクイティを変数として入れていません。

フォールドエクイティの具体例

ここまでフォールドエクイティについての式や計算方法をご紹介しましたが、正直ピンと来てない方が多いのではないでしょうか。

実際には相手のレンジで考える必要があるため単純な計算では難しいですが、今回はフォールドエクイティというコンセプトを理解しやすくするためシンプルな具体例を使ってご説明します。

あなた:A︎K

相手:AK

フロップ:910︎J

それぞれの開始スタックは200ドル持っており、フロップでポットに200ドル入っていると仮定しましょう。なおそれぞれAKを持っているとします。

この場合ターンやリバーでどんなカードが落ちたとしてもチョップになるため、それぞれのハンドエクイティは100ドル(200ドル×50%)となります。

ここにフォールドエクイティを追加してみましょう。相手のプレイヤーはあなたのオールインに対して50%の確率でフォールすると仮定します。この場合フォールドエクイティは相手のエクイティである100ドルの50%、つまり50ドルとなります。

まとめると、エクイティの合計は、100ドル+50ドル = 150ドル言い換えるとポットの75%のエクイティを持っているということになります。

ピュアブラフの具体例

もう一つ簡単な例を見てみましょう。

あなたがもし完全に負けている状態、つまりあなたのハンドエクイティが0の状態でブラフをする場合にはフォールドエクイティのみに頼ることになります。この場合フォールドエクイティは通常のオッズの計算で導き出される必要勝率と同じになります。

リバーでポットに200ドルすでに入っており、コミュニティカードはAK664、あなたは55を持っておりツーペア、相手は AKをもっており、あなたより強いツーペアを持っています。あなたは1/2ポットのオールインをしたとします。

このベットは相手が何パーセントの確率でフォールドする場合に正当化されるでしょうか。

この場合オッズは3倍ですので、ポットの33.3%つまり、66.7ドル以上のエクイティが必要です。フォールドエクイティが66.7ドル以上になるのは、相手のハンドエクイティである200ドルの33.3%ですので、33.3%となります。

まとめると、ハンドエクイティが0%のときの1/2ポットベットは相手が33.3%以上降りる場合にオッズが合います。

フォールドエクイティの威力

wikipedia

World Series of Poker braceletの最年少優勝者である、アネット・オブレスタレッド(Annette Obrestad)は2007年に行われたローステークスの180人参加のオンライントーナメントにてハンドをほとんど見ずに優勝しました。これはフォールドエクイティのみで勝ったということになります。

現在のオンラインポーカーは全体的なレベルも上がっているため、フォールドエクイティのみで勝つということは難しいですが、フォールドエクイティの影響の大きさを表す代表的なエピソードと言えるでしょう。

まとめ

フォールドエクイティは実際のプレイ中に正確な計算をすることはできませんが、フォールドエクイティがどういうものか理解していることで、ブラフを打つ際の判断材料にすることはできます。

またハンド履歴を見返し、その時相手がどの程度フォールドすると予想していたのか、そのベット額はオッズに合っていたのかを再確認することで、プレイ中のフォールドエクイティの肌感覚は研ぎ澄まされていくでしょう。