GTO戦略を研究していると、相手の戦略がGTOから離れておりもっと良い戦略はあるはず!と思ったことはありませんか?
※GTO戦略について知りたい方はまずは『GTOとは?ポーカー用語解説』をご覧ください
今回はそんな疑問を解消できるノードロックについて解説します。
ノードロックを学ぶことで対戦相手の戦略を固定化することが出来、通常より大きなEVを獲得できるエクスプロイト戦略を学ぶことが出来ます!
ノードロックとは
ノードロックとは、GTOツールでよく使われる言葉で、プレイヤーのアクションを固定することを指します。例えば、GTOの計算でベットを50%の頻度で打つ戦略を、ベットを100%の頻度に固定することをノードロックと言います。ノードロックはアクション全てに使え、チェックを100%にしたり、レイズの頻度を10%下げたりなどGTOから外れた戦略に固定することが出来ます。
ノードロックは、ゲームツリーを基に編集していきます。そこでまずはゲームツリーについて見ていきましょう。
ゲームツリーとは
ゲームツリーとは、アクションの分かれ道の図ですです。ポーカーではベットやレイズ、チェックなど多くの選択肢があります。各選択肢に分かれていった図をゲームツリーと呼び、以下のように表します。
ゲームツリーはアクションの選択肢があるだけ分岐します。ベット10%、20%、30%、40%・・・・と設定すればするだけ無限に増えていきます。
そしてGTOではこの分岐を基にそれぞれ計算をしていきます。分岐にはそれぞれ頻度がありますが、その頻度を固定することをノードロックと言います。
ノードロックのやり方
ノードロックで相手のアクションを固定することでこちら側はエクスプロイト戦略を学ぶことが出来ます。GTOの計算結果から相手が外れればこちら側の最適戦略も変化します。
例えば、ベットの頻度が高すぎる相手に対してはレイズの頻度が高くなります。
また、混合戦略で適切な頻度から外れた場合もエクスプロイト戦略を取ることが出来ます。一見どれもEVが同じなので、どの戦略を取っても変わらないと思うかもしれません。しかし、最適な頻度から外れてしまうとレンジ全体のEVは下がってしまい相手側は適切にエクスプロイト戦略を用いることでEVを上げることが出来てしまいます。
※混合戦略について詳しく知りたい方は『ポーカーにおける混合戦略とは?』をご覧ください。
このように、ノードロックをのやり方を学ぶことでGTOから外れた相手に対してどうプレイしていけば良いのかを知ることが出来ます。
では、実際にノードロックのやり方とそこから得られるカウンター戦略を見ていきましょう。
※ノードロックはPioSOLVER、GTO+、GTOWizard(今後追加予定)などのGTOツールで行うことが出来ます。今回はGTO+でのやり方を紹介します。
ゲームツリーの編集
まず、初めにGTO+を用いてゲームツリーの編集を行います。今回はCBの頻度を48%から100%に変更します。
GTO+であれば、編集したいツリーをクリックして×ボタンを押すことで特定のアクションをなくすことが出来ます。
ここでは、CBを100%にしたいため、checkのアクションを削除します。削除したゲームツリーは以下のようになります。
計算を開始
ゲームツリーの編集が終了したら、右下の『ACCEPT CHANGES』をクリックし変更を確定させます。変更が終了したら、通常通り『Run solver』をクリックし計算を開始します。
計算結果の見方
ノードロックした戦略と通常の戦略を見比べることで、どのようにエクスプロイト戦略が変化するのか学ぶことが出来ます。
まず、通常の戦略では48%の頻度でCBを打ちます。その際のレンジ全体のEVは1.4です。
右側のレンジを見てわかる通り、全てのハンドでベットとチェックの混合戦略になっていることが分かると思います。そのためチェックにしてもベットにしても期待値は同じです。
しかし、混合戦略を適切な頻度で行わず、EVが同じだからといって、CBを100%にしたらどうなるでしょうか?
下の写真を見ると、EVが1.28に減少します。混合戦略なのでアクション1つだけを見るとEVは同じですが、レンジ全体のEVを見てみると減少してしまいます。
また、このCBを100%打つ戦略は、自分のEVを下げるだけではなく、相手のEVを上げてしまいます。
相手が最適な戦略を用いた時に対する戦略
これが相手がCBを適切な頻度でした場合のアクションです。レイズは5.89%でフォールドが12.9%です。いくつかの弱いハンドはフォールドしていることがわかります。
相手が最適な戦略から外れた時に対する戦略
それに対して、相手が100%のCBを打ってきた場合は、どうするのでしょうか?
先ほどは、いくつかの弱いハンドはフォールドしていましたが、フォールドはなくなります。
また、レイズ頻度も5.89%から約2倍の12.6%に増えます。
このように、対戦相手の戦略が最適な戦略から外れると、こちら側の最適な戦略も変化します。
今回のベットの頻度が高すぎる相手には、、全てのハンドでディフェンス(コールorレイズ)するのが正解となります。こちら側はフォールドするハンドはなくなり、コール頻度とレイズ頻度が増えます。
そしてEVも1.56から2.16に上昇します。CBを100%で打ってしまうと、自分の期待値が下がり、相手の期待値を大きく上げてしまうことが計算結果からわかるでしょう。
このように、ノードロックを使うことで最適な戦略から外れている相手に対してどうプレイするべきなのか、感覚ではなくしっかりと計算した結果で理解することが出来ます。
このノードロックは巷でいわれている、定石なども数学的にしっかりと否定することが出来ます。例えば、AハイボードはCBを打つのに適した場面だから100%の頻度で打つのが良いと言われている場合がありますが、ノードロックで100%の頻度でベットをしたときと、適切な頻度でベットをしたときのEV差を調べることで昔の定石を否定することが出来ます。
ノードロックは、GTOツールが発展した現代では人間相手に最適なプレイをする上で大きく役立ちます。是非一度GTOツールでノードロックを試してみたください。
まとめ
ノードロックは相手からより多くのチップを獲得するために必須のスキルです。通常、相手は人間なので最適な戦略をそのまま実践できることはありません。
どんな人間でも何かしらの穴があり、エクスプロイト戦略を行う余地があります。
相手が適正力どう外れているか、プレイ中にしっかりと相手の穴を見つけて攻撃していきましょう。